2017年11月17日金曜日

南陀楼綾繁『編む人 ちいさな本から生まれたもの』(ビレッジプレス)にインタビュー掲載

編む人

全国各地で本(雑誌)づくりに携わる9人のインタビューを集めた南陀楼綾繁(ナンダロウアヤシゲ)『編む人 ちいさな本から生まれたもの』(ビレッジプレス)にインタビューを掲載していただきました。

掲載順に...、
『ハードスタッフ』の小西昌幸さん、『コミック・マヴォ』の竹熊健太郎さん、『入谷コピー文庫』の堀内恭さん、『プレイガイドジャーナル』の村元武さん、『カタリココ』の大竹昭子さん、『新宿プレイマップ』の本間健彦さん、『雲のうえ』の牧野伊三夫さん、『Life-mag.』小林、『地域雑誌 谷中・根津・千駄木』の山崎範子さんです。

業界の大先輩に挟まれての登場で嬉しくもあり、恐縮でもあります。わたしはルーキー枠で入れてもらいました(たぶん)。

9人に共通するのはマーケティングから逆算(発想)された本(雑誌)ではないということかなと思いました(これは2017年3月に仙台の火星の庭でイベント開催してくれた『インフォーカス』相沢さんがブログに書いていたことですが)。自身の内側からこんこんと湧き上がる好奇心をどうにも押さえ切れない。ええいっ!、、、「やりたいことを やるんだよ!」(帯文)という9人なのかなとも思いました。

そして、各地を歩き、作り手とつながり、同じく内側からこんこんと湧き上がる好奇心を持ってインタビューを重ねてきた南陀楼さんだからこその密度の濃い一冊になっています。

過去に『Life-mag.』も何度か東京の雑誌社の取材を受けたことがあります。それは、メールで主旨説明があり、ワードに書かれた質問状が添付されていて、それに回答して返信してほしいというものでした。

どこかで『Life-mag.』のことを聞いて、知って、取材を依頼してくださったことは大変嬉しく、まだまだ無名の雑誌であり、取材させてもらった人、広告を出してくれた人のことをより多くの読者に届けたいと思い、ほぼ断ることなく対応しています。

ただその質問を読むと、コピペして宛名を変えれば、どの雑誌の人にも聞けるような場合もありました。ある時は、隣県の某雑誌名が書かれた質問状が添付されていました。それでも宛名を無視して、答えようと思えば、そのまま答えられる内容でしたが...。媒体の性格があるので、一概にどちらが良い悪いは言えませんが「うぉ...」と思いました。

話が逸れてきたので、もとに戻します。

『編む人』に掲載されたインタビューは、2016年6月13日に古町のヒッコリースリートラベラーズで行われた「ナンダロウアヤシゲ ミーツ ライフマグ 〜地域雑誌を考える〜」をもとに加筆修正したものです。約20ページ。

しゃべりにまったく自信のないわたしは、その日も大丈夫だったかなぁ...と思ってましたが、終了後に南陀楼さんが「今日のよかったよ。なにかにまとめらるかもだから、録音データあとで送って」と言っていたのを思い出します。こうしてかたちになって嬉しいです。

Life-mag.vol.009【寺泊・弥彦・岩室・巻 編】の制作エピソードを中心に、営業、納品回りのことや創刊前後のことをなどを話しています。印刷代、広告費、取扱店舗数、発行部数からその時どのくらい出荷したかまで答えています。

創刊号の頃、町のキーマンのような人とまったくつながりがなかったことを話しています。この町ではどんな人がどんなつながりがあって活動しているのか、まったくわかりませんでした。誰を頼って、面白い人に辿り着けるのかもわかりませんでした。

では、どうするか。

わたしにできたのは歩くことでした。

創刊号で、お寺の住職にインタビューしたいと思い、頼ったのはグーグルマップです。当時住んでいたのは鳥屋野。グーグルマップで「お寺」と検索して、ピンの刺さったところから順番にインターホンを押して歩いていったエピソードも出ています。

これに関連して最近、思い出したことがひとつ。

『編む人』のインタビュー原稿を校正している前後で「成宮アイコ『あなたとわたしのドキュメンタリー』刊行記念トークin北書店」に参加しました。その時、北書店の佐藤さんがパンクスだった頃の話に触発されて思い出したことがあります。

創刊号の頃、新潟の音楽家をだれか取材したい。でも、どこでどんな人たちが活動しているかもわからない。誰に聞けば、そういう人とつながれるのかもわかりませんでした。

そこでわたしは古町地区にあるゲイングラウンドや新潟駅前にあったリスキードラッグストアに行って、「あのぉ、すみません。これからライフマグっていう雑誌を作るんですけど、そこで新潟のミュージシャンを取材したいんです。最近、お薦めのバンドとかいませんか」と聞いていました。

当時、25歳。取材のやり方もまったくわからない若造の唐突な問いかけでしたが、両店ともにバンド名をいくつかあげてくれたり、店頭にあったサンプルCDを持たせてくれたりしました。(佐藤さんに聞いたらリスキーの前身はUKエジソンというCDショップだったそうです。)

懐かしくもあり、ほんといろんな人にお世話になりながら、どうにかやってきたんだなと思いました。

それから最近、新潟日報で南陀楼さんの文章がいくつか出ていたので紹介します。

新潟日報おとなプラス

2017年11月10日付け新潟日報「おとなプラス」では本の街、神田神保町の形成にかかわった長岡出身者の足跡を追った記事が出ています。「博文館」の大橋佐平、「酒井書店(一誠堂)」の酒井宇吉、「弘文荘」の反町茂雄らが登場。

新潟日報おとなプラス

さらに2017年10月30日付け新潟日報朝刊には読書週間に合わせて、本を読む喜びについてのエッセイが掲載されています。共同通信の配信記事だそうです。夏葉社から復刊された『埴原一亟 古本小説集』に自身を重ねての文章。

本や雑誌、それを作ること、届けることに心底惚れ込んでいる南陀楼さんだからこその1冊であり、記事です。

『編む人』、ぜひ書店で手に取っていただけたら幸いです。