2015年4月16日木曜日

[次号予告]『LIFE-mag.vol.009【寺泊・弥彦・岩室・巻 編】』を制作予定です。

弥彦神社の末社・祓戸神社にて撮影。取材開始前にまずは参拝してきました。

『LIFE-mag.』の次号vol.009は【寺泊・弥彦・岩室・巻 編】を予定しています。

この地域は長岡市の「寺泊」、弥彦村の「弥彦」、新潟市西蒲区の「岩室」「巻」といったそれぞれ別々の行政区画にあります。次号、『LIFE-mag.』ではそれらをひとつの地域と見立てて編集してみようと思います。

ここに取材前の編者の問題意識を記しておきます。

弥彦神社の御祭神である天香山命(アメノカゴヤマノミコト)は、熊野(和歌山県)から寺泊の野積浜へ上陸したと伝えられています。そして、弥彦の地に宮居を定め、「製塩」「漁業」「稲作」「酒造」などの技術を住民に指導したという、この地域一帯の産業文化の神様でもあります。

そして弥彦詣での宿場町として栄えた岩室の温泉街、さらには北国街道が通る巻があります。これらの地域は、国上山、弥彦山、多宝山、角田山といった弥彦山系の麓一体の地域と見ることができるかもしれません。

または山だけでなく、海岸沿いの地域の歴史をたどっても面白いと感じています。寺泊・野積浜の「野積杜氏」、岩室・間瀬浜の「間瀬大工」、巻・角海浜の「毒消し売り」といった各海岸地域ごとに高い技術を持った職能集団がいたことや歴史的特徴を見ることができます。

さらに話題を現在に持ってきて、「観光」という側面からもこれらの地域を結ぶことができるのではないでしょうか。〈寺泊〉のアメ横市場に並ぶ海産物、〈弥彦〉の弥彦神社や門前町、〈岩室〉の岩室温泉や旅館、〈巻〉のワイナリーで楽しむワインというルートとして捉えたりと...。

本格的な取材はこれからですが、次回の地域をこんな風に見ています。具体的に取材してみたいなと思っていることはいまのところまだ2つです。ひとつは先に触れた弥彦神社についての取材。もうひとつは旧巻町で行われた、東北電力の巻原子力発電所建設計画に対する住民投票についてです。

1996年に行われたこの住民投票は住民投票条例に基づく日本で最初の住民投票としても知られています。約20年が経った今なお、「地方自治」や「地域社会」のこれからを考える際、この一連の出来事には学び直すべき多くのことが秘められていると思います。

最後に、これまでの『LIFE-mag.』を振り返って思うことを付け加えます。

前号の【日本海編】では、東北と括られる秋田と山形、北陸と括られる富山と石川、そして甲信越の新潟を結び、〈日本海地域〉としました。【燕三条編】は燕市と三条市を、【佐渡編】では佐渡市としての佐渡島全域を。それぞれ行政区画や地元の人の生活意識には一体感もあれば、そうでない場合もあったと思います。

取材をはじめる前の編者は、「なんだかあの辺りの地域が面白そう」という程度の問題意識でしたが、振り返ってみてふと思うことがあります。それは編者のようなヨソ者が、精一杯の好奇心を持って、地域に入り、その土地土地に根を張り暮らす人びとの声に耳を傾け、ときに歴史上の人物の声なき声に耳を澄ませ、ある一定の文化的・歴史的アイデンティティを見つけ、「こういう風に捉えてみても面白いのでは」と地域の見え方に〈補助線〉を引いてみせることだったのかもしれません。

ここまで書いてみて、民俗学者の折口信夫が唱えた「まれびと」のようだなぁとも思えて来ました。えぇ、思いつきです(笑)。

さてさて、どんな取材ができるのか。取材対象人数も、ページ数も、誌面の文字の組み方を決めるのもこれからです。次の地域に足を運び、目を凝らし、耳を傾けながら制作を進めていきたいと思います。

「こんな取り組みがあるよ」「こんな技を持った人がいるよ」「広告スポンサーとして」など、なんでもけっこうです、ご教授、ご指導、ご協力いただけることがありましたら、どうぞ気軽にお声がけください。よろしくお願いいたします。