2018年5月5日土曜日

山形・渡辺智史監督、映画「おだやかな革命」

シネ・ウインド劇場

Life-mag.vol.008【秋田・山形・新潟・富山・石川 編】で取材した山形のドキュメンタリー監督・渡辺智史さんの「おだやかな革命」が、シネ・ウインドで始まりました。初日の今日12:20からの上映を観てきました。また、上映後、渡辺さんと佐々木寛さん(新潟国際情報大学教授)の対談がありました。

以下、簡単な映画の紹介とイベントの報告です。

「おだやかな革命」は2011年3月11日の福島の原発事故後、エネルギー自治について取り組みを始めた各地の人物、団体を追ったドキュメンタリーです。

会津の酒蔵の経営者らが立ち上げた会津電力、飯館村の畜産家が立ち上げた飯館電力、岐阜県の石徹白という100世帯ほどの小さな集落がはじめた小水力発電、生活クラブという生協と連携して行う秋田県にかほ市の風力発電、森林資源を活用した岡山県西粟倉村の取り組みなどが登場します。

事業・活動のなかで市場経済とはべつの豊かな循環を模索する姿が映し出されます。しかも、それぞれ利益を出して事業としてしっかりと運営しているようでした。

映画については、すでにずいぶん多くのメディアが報じているので、わたしがここでアレコレ書く必要もないかなと思います。映画を観るのは年に1回くらいだし。

もっとも印象に残った場面についてだけ紹介します。飯館村の畜産農家のご夫婦の奥様が話していた一言です。

わたしたちは飯館に帰るけど、正直これからどうなるか不安。子どもや孫には帰って来てほしくない、といった旨の発言です。放射能に汚染され、大地から剥がされフレコンバックに入れられ積み上げられた土が、そのコメントの前後に映されました。

「グローバル人材」や「ノマドワーカー」といった言葉もありますが、やはり人は生まれ育った土地に愛着を持ち、良くも悪くも縛られて生きているのではないでしょうか。

どの季節にはどんな匂いがするのか、どの方向から強い風が吹くのか、山にかかる雲が知らせてくれるもの、川の流れる音、幼少の頃に遊んだ里山や路地、そして代々受け継いできた家屋や田畑。何気ない、慣れ親しんだそれらが生きた心地を与えてくれるように思います。

べつの土地で家と仕事が与えられたとしても、生まれ育った土地というのは、なにものにも変えがたいものでしょう。

そういう意味ではあの奥様の一言は、怖いけど帰りたい、帰らないと生きた心地がしない、子どもや孫にも帰ってきてもらいたいけど、帰ってきてほしくない、といった原発事故によって引き裂かれたままになっている、心の嗚咽のように感じられました。

その奥様は最後に飯館では3世代、4世代の同居は当たり前だったんだけどねぇ、とつぶやきます。

〈おだやかな革命〉はすでに各地で進んでいますが、そのきっかけとなった原発事故が奪った土地や暮らしとはなんだったのかあらためて考えさせられました。

トークについて取材しよと出かけましたが、このへんで。井上支配人にオイオイと思われそうですが...。シネ・ウインドさんのWEBでアップされると思うので、そちらでぜひ。

上映は5月18日まで。

シネ・ウインド
[Web]https://www.cinewind.com

石徹白洋品店のノラギもよかったです。
[Web]http://itoshiro.org

映画「おだやかな革命」
[Web]http://odayaka-kakumei.com

渡辺さんの前作「よみがえりのレシピ」までの制作エピソードはLife-mag.vol.008にも載っています。よろしければそちらもぜひどうぞ。

トークの様子。左が渡辺監督

シネ・ウインド受付

上映前、入り口のベンチでサンドイッチとコーヒーを飲んでたら、若者数人が「は? ここ映画館入ってんの?」と言いながら通り過ぎていきました。映画館です。

ポスター

仕事と子育てを言い訳に、映画を観るのは年に1回あるかどうかです。でも、たまに劇場で知らないお客さんと肩を寄せ合って一心に観るというのはいいですね。2014年11月に医学町ビルで観た「カンタ・ティモール」でもそう思いました。

以下、余禄です。オチはありません。

シネ・ウインド入り口

今日はシネ・ウインド前で古本販売がありました。店主の方に声をかけると古絵図が好きな方で、江戸末期の新潟奉行所の役人・小尾勘五郎について知ることができました。ちょうど小尾の記した「いや彦記行」「岩室遊記」について別の制作物で調べていたところでした。運がよかった。

話の流れで店主にすすめられ2冊購入。

「網野さん読むといいよ」と