2013年5月29日水曜日

「繋がる世界の地域ー越後妻有・水土・瀬戸内の経験からー」北川フラムさんトークイベント

2013年5月28日(火)18:30〜北書店にて、北川フラムさんのトークイベントがありました。主催は、大地の芸術祭 こへび隊 たまき さん(http://kohebi.jp/)と北書店さん(http://kitashoten.net/)。「繋がる世界の地域ー越後妻有・水土・瀬戸内の経験からー」とのお題。

トークイベント終了後の北書店入口

私は子どもの保育園のお迎え、夕食の支度をすませてから急いで向かったので、少し遅れました。到着すると会場は満員(50人以上はいたと思います)。既にイベントは、はじまっていました。
北川さんは終始目を閉じて、細切れの内容を矢継ぎ早に、お話されていました。私の理解力の無さもあって、体系的なメモを取ることが出来ませんでした。150分ノンストップで後半はおしりが痛かったです(笑)。ノートにメモしたことを部分的に、ここに記しておきます。正確な本意は、本人の著書などにあたられることを強くすすめておきます。

メモ)─────────────────────────────────────────────────

・新潟は文学性が薄い。人の厚みがない。
・水と土の芸術祭をふまえて、改めて勉強しなおすべき本を選び、新潟市で読書会をはじめた。→にいがた木曜読書会(http://mocdoc.info/
・網野善彦、宮本常一、鶴見俊輔、林達雄などを読んでいる。
・わたしたちはどこから来たのか?をあらためて問いたい。
・地域をイベントや研究対象とする場合、「調査される側の迷惑」も考えなければ。
・これまでの地域づくりは、効率化・情報化・一極集中だった。そうではなく、地域間を繫ぐことをやりたい。
・戦後日本は、「啓蒙」と「正義」のためにたたかってきた。
・「限界芸術」という考え方が重要。食べ物、祭り、労働歌など、一般的に芸術といわれるものの根底にそれはある。
・越後妻有では、都会の人間が田舎のじいちゃん、ばあちゃんと同じフィールドに立った。
・自然と人間の関係を現す方法として美術がある。
・美術館やギャラリーが資本主義化して、空間が失われた。
・林達雄さんの外国美術の受容の仕方がすごい。「ラベンダー」というエッセイは特に秀逸。1956年にソ連の共産党を批判。これは共産主義ではなく、全体主義だと。
・日本語の成立について、勉強しなおしている。丸谷才一さん、大岡信さんなど。
・越後妻有では、明治の大合併前の集落単位でプロジェクトを行っている。いまは一市一町だが、もともとあった200の集落で考えることが大切。
・あざみひら集落は1000年以上続くリアルがある。
・アーティストの妄想が地域に入っていくと衝突が起こる。私有制が壊れていくことでもある。
・日本列島の強さは、人々が移動してきたこと、潮の流れ、季節風、木や森との共存にあった。
・アーティストが地域に入っていくと、そのアーティスト自身が“明るく”なっていく。
・田島征三さんの廃校プロジェクトはよかった。田島さんは立体作品は初めてだった。
・「ツールド妻有」、「里山かくれんぼ」は人気イベントになった。
・都市の人間は田舎を求めている。田舎ではジャンルを超えた人との出会いがある。
・越後妻有の地域に入って10年以上が経つが、集落を維持することが難しい地域も出てきた。
・過疎地が見放されようとしているいま、過疎地との“つながり”を“アート”が担えないか。
・東アジアという視点で物事を考えることが大切。
・地域のじいちゃん、ばあちゃんが楽しいと思えて、地域に雇用を生み出せることをやりたい。
・チームは多様な人が入るべき。第6回の越後妻有に向けて、廃校の活用、市街地の活性化、飯山線の活用、倉庫美術館、アーティストレジデンスの誘致などを課題にしたい。
・『新古今和歌集』の美術版をやりたい。
・芸術祭は新しい公共のかたちを考えることである。
・瀬戸内は「海の復権」がテーマ。アート・建築、民俗・生活、交流、世界の叡智が集う、次世代育成、緑を作る。
・瀬戸内の来場者のうち、2泊以上する人が3割もいる。来場者の7割が女性。
・人類は新しい土地にいくとき、種と苗を持っていく。
・われわれは元来、大工であり、漁師であり、農夫であった。
・アートは土地に言葉と光と影を与えること、歴史を甦らせることができる。
・大阪という都市の「庭」は瀬戸内海。大阪は瀬戸内海に背を向けるべきでない。
・地域の人のエネルギーをうまく使いたい。
・東アジアのファンドをうまく使いたい。香港、中国、シンガポールなど。
・文化庁の予算が来年度から増える。
・美術は人と「違う」ことが褒められる。
・アーティストは作る現場を見せるべき。
・行政や地元のNPOと意見が食い違い、たたかうことになることもある。

イベントフライヤー

雑感)─────────────────────────────────────────────

私としては、新潟市で開催された「水と土の芸術祭」の良かった点、悪かった点をもう少し聞きたかったなと思いました。
北川さんが新潟市で行っている「にいがた木曜読書会」(http://mocdoc.info/)は、市民の方と直接、思想を共有、議論出来る場ですごくいいなと思いました。しかも、内容をウェブにアップしているので、どんなことが話し合われたか、他の人も知ること、学ぶことができて、ありがたいです。
その読書会が行われている喫茶店・カフェドラペのマスターからは、私も鶴見俊輔さんの魅力を教えてもらっていました。(もう3、4年前だろうか・・・)
イベント後、編集室に戻り、話に出てきた「限界芸術」についてあらためて著書を開いてみました。


鶴見俊輔集6限界芸術論 筑摩書房

鶴見俊輔さんの『限界芸術論』は、こうはじまります。

「芸術とは、たのしい記号と言ってよいだろう。それに接することがそのままたのしい経験となるような記号が芸術なのである」

限界芸術については、

「芸術の発展を考えるにさいして、まず限界芸術を考えることは、二重の意味で重要である。第一には、系統派生的に見て、芸術の根源が人間の歴史よりはるかに前からある遊びに発するものと考えられることから、地上にあらわれた芸術の最初の形は、純粋芸術・大衆芸術を生む力をもつものとしての限界芸術であったと考えられるからである。
 第二には、個体発生的に見て、われわれ今日の人間が芸術に接近する道も、最初には新聞紙でつくったカブトだとか、奴ダコやコマ、あめ屋の色どったしんこ細工などのような限界芸術の諸ジャンルにあるからだ」

とあります。
新潟市で開催された「水と土の芸術祭」も、一般的に「芸術」と呼ばれているものよりももっと広い意味で「芸術」を捉え直そうという機会でした。
食、地形、民話、方言、産業、遊び、祭り、自然などを作家さんたちがアートによって、面白く再現していきました。「俺たちの暮らす地域ってアートを通して見るとけっこう面白いんだなぁ」と気づかせてくれる機会でした。
私自身もそうですが、ついつい「俺の地元って、なんもね〜、つまんね〜」と思ってしまいがちです。北川さんの行ってきた芸術祭、鶴見さんの『限界芸術論』の考え方は、学ぶべきことが多いと思いました。

2013年5月26日日曜日

笑顔写真家 かとう ゆういち フィルムショー「日本一周 笑顔の旅 ~笑顔に秘めた物語~」|写真|

フィルムショー終了後のスタッフ写真。ポスター風にLIFE-mag.で作ってみました。

三条東公民館、入口のボード。

受付中。

スライド。

満面の笑顔。

会場の様子。

中休みでの打合せ。

jazzのCD風に撮ってみました。ピアノの中澤さん。

終了後、来場者ひとりひとりと言葉をかわすかとうさん。

使用しているカメラNIKON D90、35mmレンズ。

旅ノート。幸せの聞き書きもしている。

ツバメノートを愛用。

2013年5月25日土曜日

笑顔写真家 かとう ゆういち フィルムショー「日本一周 笑顔の旅 ~笑顔に秘めた物語~」|インタビュー|

|インタビュー|2013 5/15(水)10:00〜|みんくるツバメコーヒーにて|

「幸せってみんなの日常に溢れていて、それを感じるかどうかなんですよね。おにぎりを食べるにしても、せわしなく食べるのか、感謝して食べるのかで違いますよね」そう語る「笑顔写真家」かとう ゆういちさん。

かとうさんの使う言葉はとても明るく前向きな表現が多い。「笑顔」、「幸せ」、「あったかい」・・・。私だったらとても書けないような言葉を使うんだなという印象を持っていた。

テレビ、新聞、ラジオなどあらゆるメディアに登場しているかとうさんを私は一方的に見続けてきた。その印象は、どこかはかなく、揺れているようにも思えた。ただ、不確かな自分に耐えきれず、必死に、確かに生きている手応えを掴もうとするその姿は気になっていた。今回、実際にお話をさせていただいたが、その印象はあまり変わらなかった。

今回のフィルムショーの宣伝文を一読して、今までと何かが違う、という勘が働いた。話を聞いてみると、今回のフィルムショーを境に、笑顔を「集める旅」から「届ける旅」に移るとのとこだった。

現在、27歳のかとうさん。同世代の彼の新たなる門出に、私の出来ること「記録する」ことでエールを送る。悩みながらも、進むその軌跡の一端を映像と文章でここに記録した。

interview)───────────────────────────────────────────────────────────

Q.今回の企画の経緯や動機は

A.これまで4年2ヶ月の間旅をしてきた集大成をカタチにして届けたかったんです。全国各地に旅をして、その土地に暮らし、生活をともにする中で僕が集めてきた小さな幸せ、笑顔、喜びを伝えたかった。
でも正直に言うと、僕が集めるだけ集めて、逆に届ける、次に渡すということをしてこなかったことへの情けなさもありました。

Q.準備期間はどのようなものでしたか

A.97,544枚の写真と、各地の人の思いを聞き綴ったコト、メールをいただいたこと、手紙をもらったことなどをまとめた20冊の『旅ノート』と向き合う期間になりました。これまでの自分と向き合う貴重な時間でした。
朝から晩まで準備をし、今回のライブにすべてを懸ける思いでのぞみました。

Q.トークライブを終えていまの思いは

A.今までは僕個人の旅だったものが、5月12日を境にいよいよみんなの旅になっていくんだなと思いました。これまで僕が集めてきた小さな幸せ、笑顔の旅を今度は全国の人たちに届けていく段階に入ったなと。これから京都、三重、富山をはじめ全国でこういったトークライブを行いたいと思っています。

Q.三条、新潟での活動予定は

A.三条市からの依頼で制作した地産地消PR冊子「三条をいただきます」(http://www.city.sanjo.niigata.jp/nourin/page00172.html)。これの第二弾の制作が決まったので、制作を進めたいと思っています。
みらいずworksさん(http://miraisworks.com/)のプロジェクトメンバーに入っていて、新潟市東区の中学校の総合学習を一年間かけてお手伝いさせていただきます。「地域再発見」というような内容で、チームに分かれた生徒たちがデジカメを持って、地域を歩いていくんですね。
燕三条エフエムラヂオは〜と(http://www.heart768.com/)の「Slow Remix」で「ふるさと再発見」というコーナーを持っていて続けていきます。

Q.これからの予定は

A.トークライブをやっていくこともそうですが、ホームページの作成と写真集出版を考えています。
ホームページは、全国の人たちが自分の日常にある幸せな瞬間、時間、思いを、写真や動画、文章などで投稿できる仕組みを考えています。多くの人たちのそれぞれの幸せを共有できたらいいなと思っています。散歩しながら見た夕日、家族揃って夕ご飯の写真、子どもの成長など。いろんな人たちと一緒に幸せ探しの旅に出たいですね。
写真集の出版もまた新たな旅なんです。まだどういうカタチでの出版かはわからないんですが、今年(2013年)の11月10日に出版したいです。それは、ジョン・レノンが『imagineイマジン』という曲を11月10日に日本で発売(1971年)した日だからです。僕はあの世界観にすごく影響を受けているので。


profile)───────────────────────────────────────────────────────────

name かとう ゆういち
birth 1986.2.17
place 三条市島田
web http://www.egao-no-tabi.jp/

2013年5月24日金曜日

笑顔写真家 かとう ゆういち フィルムショー「日本一周 笑顔の旅 ~笑顔に秘めた物語~」|映像|



笑顔写真家 かとう ゆういち フィルムショー
日本一周 笑顔笑顔めた物語~』(トークライブ×写真スライド×ピアノ生演奏)
トーク:かとうゆういち、ピアノ:中澤 友希、ギター:Peter
2013512日()17:00〜、三条東公民館

映像と写真、そしてインタビューで記録に残しました。
2時間を超えるフィルムショーの25分ほどを3本の動画でどうぞ。

笑顔写真家、誕生

飛行機雲、夕暮れ、感情を高ぶらせるピアノとギターの伴奏と共に

そして、ふるさと・三条を見つめ直す